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2017年5月17日掲載 山陽新聞「働き方改革・テレワーク」

      2018/10/22

岡山県内「働き方改革」

長時間労働の是正や待遇改善など「働き方改革」に取り組む岡山県内の中小企業が増えてきた。社会的な要請に応えるとともに、社員のワークライフパランスに配慮する姿勢を示して人材の確保につなげる狙いもある。退社時間を早めたり、休日を増やしたり、残業時間が少ない社員への手当を設けたりと、各社が対策を進めている。


中小企業取り組み加速

玉野市内の船舶部品会社など約200社にねじやポルトを販売する三協鋲螺(同市)。月末の金曜日の退社時間を午後3時にする制度を2月に導入した。
消費喚起のため月末金曜目に早めの退社を促す「プレミアムラライデー」に合わせた措置。「家族と食事に行ったり、散髪をしたり、それぞれ時間を有効に使っているようだ」(宮脇信行社長)という。
4月から、土日の完全週休2日制も導入。従来は土曜目も交代で勤務して急な注文に応じていたが、取引先の理解を得て実現した。同社は9人の全従業員が30代以上。若手の採用活動に力を入れており、宮脇社長は「若い世代ほど長時間労働に敏感になっている。環境整備が欠かせない」と説明する。

100日だった年間休日数を今年から107日に増やしたのは、歯科医院向けシステム開発の東和ハイシステム(岡山市)。全国に19カ所ある営業所では、レセプト(診療報酬明細書)発行が集中する月末の土曜日が休みに<かったが、本社にサポート要員2人を置き、問い合わせに対応できる体制を整えた。

石井滋久会長は「社員の平均年齢が30代前半と若<、子育て中の社員も多い。仕事に意欲を持ってもらうにはプライベートの充実が必要」と話す。
残業を減らすため、インセンティブ(動機付け)を取り入れる企業もある。工作機械や機械工量卸のトリツ機工(同)は、1カ月の残業時間が一定以下になると支給する「業務効率化手当」を昨年9月に設けた。
みなしで支給する月40時間分の残業代に加え、30時間に満たない場合は5千円を上乗せする仕組み。営業日報の簡素化など社員の提案による業務改善も並行して行い、月平均3、4人に手当を出すなど成果も表れている。「早く帰る意識が浸透すれば、日々の業務を工夫する姿勢が生まれる」と鳥津実社長。

オフィス用品販売の石井事務機センターは

4月、社内の様子を幹部が外部から確認できる「ネットワークカメラ」を導入した。スマートフォンなどで専用サイトにアクセスして映像を確認し、深夜まで社員が残っている場合は電話で帰宅を促す。

販売業では営業時間を短縮する動きが広がっている。自動車ディーラーの日産サティオ岡山(同)は4月から、県内全12店の閉店時間を午後7時半から同7時に繰り上げた。営業時間を見直すのは約10年ぶり。調査で顧客の来店が少ない時間帯であることが分かり、サービス面の影響は少ないと判断した。時計・宝飾品販売のトミヤコーポレーション(同)は2月から、表町商店街にある8店の開店時間を30分遅い午前11時に変更した。

働き方改革

をめぐっては、労使関係者らでつくる国の「働き方改革実現会議」が3月に実行計画を策定。残業時間の上限を原則月45時間、年360時間とする罰則付き規定の実現などが盛り込まれた。今後、各企業で対策が進むとみられる。
ただ、大手の下請けが多い中小製造業には「取引先が示す納期は絶対に守る必要がある。自社の都合だけで労働時間を決められない」(倉敷市内の金属加工会社社長)といった事情もある。働き方改革への理解が発注側も含めて広く浸透するかどうかが、中小企業への定着に向けた鍵になりそうだ。

休日増や残業減に手当 人材確保も
残業時間が少ない社員への手当てを導入したトリツ機工の本社オフィス。支給対象者が出るなど成果が表れている

 - メディア掲載