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2018年1月10日掲載 山陽新聞「働き方改革・テレワーク」

      2018/10/22

第47回あすの岡山アンケート 働き方改革 実施に前向き95% 長時間是正や業務見直し/人材確保 再雇用、新卒採用強化/健康経営 46%が取り組む

2018年が幕を開けた。世界的な景気拡大で国内経済の回復基調が続く一方、企業には長時間労働を是正する働き方改革や、人手不足の解消に向けた取り組みが求められている。山陽新聞社は岡山県内企業のトップらを対象に「第47回あすの岡山アンケート」を実施し、経営課題に対する考えを聞いた。 (大島望)

働き方改革 実施に前向き95% 長時間是正や業務見直し

過労死や過労自殺が相次ぎ、長時間労働が社会問題化する中、安倍政権も「働き方改革」を喫緊の課題に掲げている。

実施状況では、46%が「積極的に取り組んでいる」と回答。「徐々に進めている」37%、「取り組む予定」12%を含め、前向きな答えが95%を占めた。「現時点で取り組む予定なし」は5%だった。

業種別で「積極的」とした割合が高かったのは、金融・保険82%、化学工業・石油製品製造60%、建設56%、小売り52%など。不動産は半数が「予定なし」と答えた。

改革に肯定的だった回答者に実行している取り組み(複数回答)を聞くと、ノー残業デーの導入や残業時間の上限設定といった「長時間労働の是正」が67%で最多。「業務の見直し」64%、「組織の風土改革」42%、「管理職への教育」36%、「社員(パート含む)採用」29%などが続いた。

各社が是正に取り組む理由(同)としては、「従業員の健康」64%、「従業員の満足度向上・離職防止」63%、「生産性の向上」55%が多かった。

働き方改革の実現に重要なこと(同)は、「社員の意識改革」78%、「経営者の意識改革」68%、「人事・労務制度の改定」31%が上位に入った。「取引先の理解」とする意見も16%あった。

全回答者に聞いた直近1カ月の平均残業時間は「1~30時間」が71%で最も多く、「31~60時間」22%、「0時間」2%、「61~80時間」1%。過労死ラインの80時間を大きく超える「100時間以上」とした答えも1%あった。

残業時間は1年前の前回調査でも質問しており、数値を比較すると「0時間」と「1~30時間」がそれぞれ1ポイント、4ポイント減。「31~60時間」は5ポイント増えており、わずかながら残業が長時間化する傾向が見られた。

人材確保 再雇用、新卒採用強化

好調な企業活動を背景に、県内でも人手不足が顕在化している。今回のアンケートでも、人員の確保に苦心する企業の実情が浮き彫りになった。

人員の過不足状態について、「不足している」としたのは26%。「やや不足している」も66%に上り、両者を合わせ92%に達した。一方で「やや過剰である」は7%。「過剰」とした企業はなかった。

業種別では、窯業・土石製品製造で100%が「不足」と回答。小売りと食料品製造、輸送・通信、鉄鋼・非鉄金属・金属製品製造、繊維工業・繊維製品製造でも、全社が「不足」か「やや不足」と答えた。

「不足」「やや不足」とした回答者に人材確保に向けた取り組み(複数回答)を尋ねると、「定年延長や再雇用」が65%で最も多く、「新卒採用を強化」59%、「業務プロセスの改善」「賃金など処遇改善」各34%などが続いた。「残業で対応」とする企業も15%あり、長時間労働の是正と人材確保を両立させる難しさが表れた。

求める人材(同)としては、「即戦力となる中堅社員、専門家」が60%、「一定の経験を有した若手社員」が56%に上り、すぐに活躍できる経験者を希望する回答が上位を占めた。「新卒者」は46%だった。

今後の動向として、20年ごろの人員充足の見通しについても質問した。「不足感が強まる」としたのは39%。「不足感が和らぐ」の9%を大きく上回り、しばらくは人材難が続くとの見方が広がっている。「現状と同程度」との回答は半数の50%だった。

健康経営 46%が取り組む

企業が社員の健康維持に投資する「健康経営」。従業員の心と体を整えることは経営面でも効果が高いとして、仕事の合間の体操や健康診断の受診促進などに取り組む企業が増えている。

実施状況について尋ねると、46%が「既に取り組んでいる」と答えた。業種別で実施率が高いのは、金融・保険68%、輸送・通信と一般機器・電気機器・輸送用機器・精密機器製造の各57%など。

一方で、過半数の企業は取り組んでおらず、「言葉は知っている」は43%、「聞いたことがない」も10%あった。

健康経営がもたらす効果(複数回答)については「従業員の満足度の向上」が78%で最多。「生産性の向上」56%、「業績の向上」40%、「企業イメージの向上」37%、「優秀な人材の確保」30%も上位を占め、多方面に効果をもたらすとの見方が強かった。

今後については、まだ取り組んでいない企業の中で、18%が「実践する予定がある」、76%が「いずれは実践したい」と答えた。

調査方法 2017年11月中旬から12月上旬にかけて郵送によるアンケート方式で実施。対象は岡山、倉敷市を中心に、岡山県内に事業所がある企業トップら314人。有効回答数は211人で、回答率は67・2%。記事、グラフの数字は小数点以下を四捨五入しており、全体で100%にならない場合がある。

 

【写真説明】退社宣言時間を明示したり、自宅で働く社員とテレビ会議でやりとりしたりと、企業は働き方改革に取り組む=岡山市、石井事務機センター
【写真説明】人手不足が深刻化する中、企業は合同説明会などで人材確保を図る=昨年6月、岡山市
【写真説明】従業員の健康増進のため、職場体操などを導入する企業が増えている=倉敷市、JFEスチール西日本製鉄所倉敷地区
【写真説明】働き方改革の取り組み状況:実行している取り組み(グラフ)
【写真説明】直近1カ月の平均残業時間(グラフ)
【写真説明】人員の過不足:人材確保に向けた取り組み(グラフ)
【写真説明】健康経営がもたらす効果(グラフ)

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